リサ・ランドールはわかりやすいのか

啓蒙のための尽力という意味において、この人が、外すべきではない地位にあることは、私も理解している。

しかしながら、彼女の『ワープする宇宙』は、実際、解かり易いかと問われたら、答えはNoとならざるを得ない。

物理学が新たな地平を拓こうとしている胎動を感じることは可能だ。しかし、物理学は、数式が何よりも雄弁に挙動を感じさせるように記述され、直観的に不可知なものを理解させる剛毅を備えていたと門外漢は勝手に思うのだ。

よって、数式も実験結果も捨象するランドール氏の著作に素直に頷けないのが、浅学菲才の哀しいところだ。