フランス大統領線は静観します。

tropical_dandy2007-04-17


フランス国民でもない身故、静観する他無い訳であるが、実のところ、前回のルペンショックから変化したのは、移民問題の深刻化であり、失業率の上昇であり、デモであり、暴動に他ならず、それら諸問題の内の幾つかを実に手際良く処理したのは、他ならぬサルコジ内相だった。もうドビルパンは政界から消え、サルコジは何時の間にやらシラク現大統領の支持も取り付け、社会党ロワイヤル候補が失速し、漁夫の利を得るかと言われていたバイル候補は影が薄く、強いて言えばあのルペンの検討が渋く光る程度に留まる。

しかしながら、第五共和制以降、サルコジは転換期を迎えたEU圏内の覇権国家足り得るかも知れぬフランス共和国のリーダーとしては異例だ。移民の子、と云うルペンの罵倒は単にサルコジを利するだけだったが、その実、サルコジの移民政策は前提条件が明確である故、強硬派と云われながらも相対的には穏健に見えるパラドクシカルな関係にあり、本人は至ってエスプリの効かないストレートな物言いに終始するだけだ。どうなのか、と云っても、これはワンルレーズ・ポリティクスがこともあろうにフランスにまで伝染したと云うことであり、サルコジはその豪腕故にと云うよりも、消去法の結果としてと云う側面を抱えながらも大いに期待もされ、エリゼ宮の住人になるのであろう。これは最早見守る他ないではないか。