思考とは本質に対する洞察に他ならない

これは単に私にとって思考とは何ぞやと云う話である。考えることとは、と云い換えても良かろう。この意味では、多くの場合、人は考えない。日々思い煩い悦び嘆き悲しんでも、それが実存を透徹する次元にまで昇華されない限り思考の必要条件を満たさない。

識字率等、日本で話題になることすら稀であるが、文字が読めると云う一事で、大切な何物かを失っている可能性に思いを致てみてはどうか。これは概念把握のみを以って、その事象について「判ったような気分」になり得る危険性を孕む。必要なのは真の思考であり、それこそが自己への、他者への、社会への本質を洞察することに繋がることに他ならぬ。